推手を競技として行なう「競技推手」の研鑽を通じて、伝統武術の振興を志向する団体です

全日本大会規則

■試合会場

地面が平らかつ障害物のない場所で行うものとする。マットを利用する際は以下のサイズとする。

■組み分け

推手試合の体重別は、以下のとおりである。

組別 軽量級 中量級 重量級 無差別級
65kg未満 65kg〜75kg未満 75kg〜85kg未満 制限なし
制限なし

■計量

  1. 選手は、試合の前に指定された場所に集まり、計量をする。当日計量した体重で、参加表明の体重別条件に満たしているか判断をする。
    下着のみでの軽量も許されるが、指定時間内に計量を済まさない選手は、試合を放棄したとみなす。
  2. 選手は、必ず参加当日は健康であることを前提とする。負傷したことを隠して参加して万が一の事故が起きても、その責任は保証しない。
    計量の際には、手指の爪の検査も行う。
  3. 選手は、計量の体重が申込書より軽い場合は、通常通り、申し込んだ組み分けでの試合に出ることとする。逆に申込内容より重い場合は、指定時間内に申し込んだ組み分けに体重を落とせなかったら、失格とする。

■試合時間

定歩推手試合時間は1ラウンド40秒間である。ラウンド間は1分間の休憩を取る。試合終了の際には、時計係はベルやほかの方法で知らせるものとする。

■選手服装

  1. 選手は、長いズボン、ボタン無しの半袖Tシャツ、シューズ着用とする。
  2. アクセサリー(指輪、ネックレスなど)は、一切禁止である。
  3. 選手は、ルールに従い、赤い帯あるいは青い帯をつける。

■試合進行

  1. 選手の名前を呼ぶ
    選手は、試合直前になったら、指定の位置に入場して待機するものとし、名前を呼ばれたら入場する。名前を3回呼ばれても入場しない、姿を見せなかった選手は、不戦敗とする。
  2. 試合開始
    名前を呼ばれた選手は、会場の中で指定された場所に着く。主審も指定された位置に立ち、選手たちを集合して主任審判員に礼をさせる。そして、選手たちの服装や身体を検査する。
    体にオイルや粘りのある物質等がついているか、手の裏に何か隠し持っていないか、爪を切ったかなどチェックする。
    その後、選手はお互いに礼をし、主審の号令に合わせて試合を始める。
  3. 準備位置
    定步推手試合では、選手たちは右足が前に、左足を後ろにしてマットの上に立つ。右手を掤手(お互いの腕を交差させて付ける)し、左手を按手(相手の右肘外側に当てる)する。
    これは、搭手という準備態勢である。そして、主審の「はじめ」の号令に合わせて、試合を始める。
  4. 試合終了
    時計係が、ベルやほかの方法で試合終了を知らせたあと、主審は試合終了を指示する。
    選手たちは、主審の両側の指定された位置に立ち、指示や勝負の宣告を待つ。勝負宣告の後、選手たちはお互いに礼をして会場から去る。
    選手たちは勝負宣告を聞いた後、主審に礼をする。
    主審が、ベルが聞こえなかった場合は、主任審判員は直ちに笛を鳴らして試合を中止する。試合が終了した後に得たポイントは、無効である。
  5. 試合中止
    選手が、怪我やアクシデントで試合を中断したい場合は、主審に手を挙げて、中断を希望する意思を伝える。主審はその場合、試合を最長1分間中止する。
    選手が、反則や怪我や、床に倒れたことや、マットから出たことや、突発状況で試合が中止になった場合も、主審は試合を中止する。
    そして、得点を記録した後、あるいは、突発状況が解決された後、選手は、再び準備位置に着き、残った時間で試合を再開する。
    このような試合中断は、数回許されるが、悪意や邪心を持って、自分が有利になるようにするような、自己中心的なものはこの限りでない。
    選手は、怪我で1分間中止になったあと、大会関係者が試合を続けるのが不能だと判断した場合、試合終了と宣告する。
    主任審判員は、突発状況や主審や記録員などが厳重なミスを犯した際、試合を中止し、審判関係者を集合して試合進行を討論する。

■試合採点

  1. 發勁や圧力、借力、崩しなどの技法で、相手の足をマットの外に移動させると、得点1点。
  2. 發勁や圧力、借力、崩しなどの技法で相手を倒すと、得点2点。
    相手のひざ(ひざも含み)以上の部分を地面に接触させることは、倒したとみなす。
  3. 判定勝ち:得点の差が6点以上ついたら、その時点で、現在試合中のラウンドの勝ちが確定する。

■勝負の判定

定步推手試合は、2ラウンドを先取すればその時点で勝者となる。

この時点で勝敗が付かない場合は、第3ラウンドを実施する。このラウンドでも勝敗が付かなかった場合は、通算得点数の多い方を勝者とするが、それでも勝敗が付かない場合は、体重の軽い方を勝者とする。

■試合中止の判定基準

試合を中止した後、諸事情によって試合を続行できない場合の判定基準は以下のとおりである。

  1. 自分のミスで怪我をした場合は、相手に対するペナルティはなく、自身が失格となる。
  2. 相手の反則で怪我をした場合、反則の選手は、反則負けとする。
  3. 選手がやむを得ない事情で試合放棄した場合、その選手を失格とする。

■反則

推手試合では、下記のような動作や行為をとる場合、反則行為とみなす。

  1. 金的、首及び頭を攻撃する行為。
  2. 頭やひざなどの部分で攻撃する行為。
  3. ひじ、手刀、前腕で直接打撃的な攻撃をする行為。
  4. 蹴ったり、相手の足をつかんだり引いたりする行為。
  5. かみつき、ひっかき行為。
  6. 足を抱いたり、その手段によって相手を投げる、及び両手で相手の脇を差し入れて、両手を組んで抱え込む(クラッチ)行為。
  7. 倒れた相手を攻撃する行為。
  8. 相手や審判員に無礼な言動、審判員の号令や指示及び試合に関するルールに反する行為。
  9. 場外にいる人物による、試合の指導または試合を邪魔する行為。
  10. 衣服をつかむ行為。
  11. トンボを捕まえるときのように相手の顔に指を向けてぐるぐる回す行為。
  12. 相手の関節を破壊することを目的とした行為。

■懲罰

  1. 試合で軽い反則をした場合は、主審が警告する。警告1回につき、減点1点。悪質な反則をした場合は、減点2点。
  2. 2回反則を指摘された場合は、当試合を没収する。厳重な反則をした場合は、直ちに試合を取り消し、相手の勝利を宣告する。
  3. 選手が覚せい剤等の非合法薬物をやっていることが発覚したり、休憩タイムで酸素を吸ったりする場合、失格とする。
  4. 選手、教練、監督が、判決に不満があり、試合関係者に怒鳴ったりする場合、悪質である場合は、試合の進行を著しく妨害するものとみなし、選手を含めて即退場処分とする。
    また極めて悪質だと判断した場合は、選手、教練、監督あるいはチームに試合参加停止の懲罰を与える。

【参考】

●全日本競技推手連盟 大会ルール

投稿日:2019年3月20日 更新日:

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